個人事業主から法人成りの会計処理

めでたく個人事業主から法人成りすることになると、色々と厄介な処理が待っています。嬉しい悲鳴ということで頑張るしかないでしょう(笑)

法人成りした日の会計処理

法人になると、それまで個人事業で使っていた屋号が記入されている預金通帳や売掛金、在庫や購入した固定資産、返済中の借金などを会社に引き継ぐかという問題に直面します。これらは税務上の課税リスクが発生する場合があるので注意が必要です。

現金や売掛金の処理

個人事業主時代の預金残高や売掛金の残高が残っている場合ですが、法人成り後も入出金で動きそうな場合は、一定期間その口座は解約せず、維持しておいた方が無難です。これらは法人成り後にとって仕方のない理由のある入出金ですから、問題とはなりません。例えば法人成り前の売掛金が法人成り後に振り込まれたからといって、それまでを会社の売上としなければならないのかといえばそんなことはありません。あくまで法人成り前の売掛金は、引継ぐ必要はありません。

在庫の処理

在庫の場合は売掛金とは異なり、個人の所有から会社の所有へと移行が必要になってきます。この場合、その時点での時価で会社に売却することになります。しかし、一般商売価格==時価で販売すれば当然利益が出てしまいます。そうなると所得税の対象となってしまいます。しかも、消費税の免税対象ではない場合は、消費税までかかってしまいます。

個人事業主から法人成りの会計処理

固定資産があったら?

個人事業主時代から所有している固定資産があった場合はどうでしょう。固定資産の場合、登記されている関係上名義変更が容易ではありません。しかも、抵当権が設定されていれば会社に引継ぐのは不可能となります。ですのでこれらは会社に引継がないことをおすすめします。この場合は、個人から会社に貸していることにするのがいいでしょう。事務所を借りるのと同じ容量で、会社から個人へ家賃を払うかたちにします。ただし、適正な家賃にすることが必要です。この方法だと、法人成りしても個人に家賃収入とし不動産所得が発生するので、個人として確定申告を行わなければいけないのはデメリットでしょう。

工場の機械など大型の資産

機械を購入した時の借入が残っている場合は、借入と一緒に会社に引継ぐことをおすすめします。法人成り後も事業で使用するならば、減価償却というかたちで経費にしていけばお得です。機械がリース契約であれば、契約名義を会社にするだけで事が済みます。

車両の場合は名義変更に労力がかかってしまいますから、会社での使用がはっきりと分かっていれば帳簿上会社に引継ぐものの、名義変更はしないでも会社の経費として認められるのが一般的です。ただし、リース契約でない場合は、先程の在庫と同じように会社に売却したのと同じことですから、個人側に消費税を課税されてしまう可能性があります。それを回避する方法としては、車を現物出資というかたちで会社に譲り渡す方法もあります。

負債がある場合

負債の引継ぎも考え方は一緒です。個人事業主時代の仕入先などへの未払いは引継がず、売掛金と同様に処理が完了すればそれで解決します。負債といっても、金融機関からの借入の場合はプライベートとの線引きが必要です。設備投資のための借入であればそのまま引継いでも問題はありませんが、プライベートな借入を引継いで会社が支払ってしまうと、役員賞与を支給したとみなされかねません。そうなれば役員賞与は会社の経費とならないばかりか、信用までつぶしかねません。

photo by: eagle102.net

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