一般的に会社を作ると、役員と呼ばれる、取締役や監査役などを決定し登記します。そして取締役の中から代表取締役を選出します。ちなみにこの取締役、何社も兼務して問題ありません。それどころか、代表取締役だって兼務できるのです。上場会社の株を複数取得できるように、中小企業への出資、つまり自分の会社を何社も作ることは可能です。
会社を複数所有した場合はいくつかメリットがあります。
交際費の枠が増える
法人税はひとつの会社に対してひとつの税務申告を義務付けています。つまり会社ごとの申告になります。税制上の規制もそれぞれ個別になります。法人税でよく議論の争点になるのが交際費。個人事業主の場合は、業務上であれば使ったら使っただけ経費にできます。ところが会社の場合はそうはいきません。中小企業の場合、原則600万円までと決まっており、しかもそのうち10%は損金として認めてもらえません。これが会社を2つ作ると、倍の1080万円まで損金として認められます。
法人税の軽減税率が拡大される
現在中所企業の法人税の最低税率は、軽減税率が適用されるので18%です。しかしこれは年間の会社の所得で800万円以下の部分の課税ですから、これを超えるととたんに30%に跳ね上がってしまいます。ところがこれも交際費と同じで、きちんと事業目的の棲み分けさえすれば二倍の1600万円まで軽減税率が拡大できるということです。
転籍による退職金が経費扱いになる
会社を複数所有すると、従業員を別の会社へ転籍させる場合が出てきます。そのとき、転籍先の会社から退職金を支給すると、これを転籍元の会社の経費とすることができ、節税できます。
以上、さまざまなメリットを紹介しましたが、そもそも会社を複数運営するにはかなりの維持費がかかります。赤字でも法人住民税の約7万円は毎年かかりますし、事務所の家賃、そして事務手続きも増えてきます。複数の会社を持つことは儲かっている場合にメリットが大きいだけで、経営が苦しい会社が楽になるという話しではありません。また、複数会社があると、悪い意味でさまざまなことが融通しあえる場合があります。特にグループ会社間の取引については税務署も目を光らせていますから、不正のないように注意しなければなりません。