会社設立後の税務署への届出

税務署への提出書類には次のようなものがあります。

  • 法人設立届出書
  • 青色申告の承認申請書
  • 給与支払事務所等の開設届出書
  • 棚卸資産の評価方法の届出書
  • 消費税関係の届出書
  • 個人事業主の開廃業等届出

会社設立後の税務署への届出

法人設立届出書は必ず提出

法人を設立したらまずは税務署に法人設立届出書を提出しましょう。提出期限は法人設立から2ヶ月以内です。定款のコピーと登記事項証明書の添付が必要になります。必要に応じて、株主の名簿、現物出資者名簿、設立趣意書、設立時の賃借対照表、合併契約書のコピー、分割計画書のコピーも添付を要求されます。

法人設立届出書は地方自治体にも提出が必要ですが、まったく同じ書式のものを作成して用意します。期限は自治体によって異なり、2週間から1ヶ月程度となっています。東京都の場合は区役所への提出は必要ありません。都税事務所が兼ねているためです。ただし、期限は15日となっていますので注意が必要です。

青色申告の承認申請書で特典を得る

あまり知られていませんが、実は法人でも白色申告があります。節税が目的で法人成りする場合が多いことから、ほとんどの会社は青色で申告しているので、あまり知られていないのでしょう。青色で申告するには日々の取引を全て複式簿記で記録して申告しなければなりませんが、数多くの特典を得ることができます。帳簿は最低7年間保存することが義務付けられています。

設立第1期目から青色申告の承認を受けて申告する場合の青色申告の承認申請書の提出期限は設立日以後の3ヶ月を経過した日の前日までとなっています。第1期目が3ヶ月よりも短い場合は、事業年度終了日の前日までとなっています。

源泉徴収とは

社長も会社から給料をもらう立場なので、その給料に対する所得税を差し引いた額を支給します。所得税はいったん会社が預かり、従業員に代わって国に納税します。これを源泉徴収といいます。源泉徴収するべき所得税の納付を怠ると不納付加算税という罰金が5~10%も発生してしまいます。しかも延滞税としてさらに5~15%程度の利息もかかってしまいます。忘れるだけでかかってしまうので注意が必要です。

源泉所得税関係の届出書

源泉所得税に関する書類として、給与支払事務所等の開設届出書があります。この書類は最初の給料支払後1ヶ月以内に提出することになっています。

源泉徴収によって預かった所得税は、原則給与などを支払った月の翌月10日までに納めなければなりません。しかし、従業員数が常時10人未満の小規模会社の場合は源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書を提出して承認を受ければ、年2回の納付で済ませることができます。また、納付の特例適用者に係る納期限の特例に関する届出書を提出すると、翌年1月10日の納付期限が1月20日まで延期されます。

棚卸資産の評価方法の変更届出書

棚卸資産とは、期末に売れ残ってしまった商品や未使用の原材料、完成せず製造途中の仕掛物、工事途中の現場コストなどを言います。決算時にはこれら棚卸資産の金額を算出することが必要です。その計算方法は、棚卸資産の期末時の在庫数に、一定の評価方法によって決めた単価をかけることです。この棚卸資産の評価方法は、通常、法定の評価方法である最終仕入原価法を使います。これは決算日の直近に仕入れた金額を原価として評価するやり方です。

棚卸資産の評価方法は選ぶことができます。最終仕入原価法以外を選びたい場合は、棚卸資産の評価方法の届出書を提出することで変更できます。

減価償却資産の償却方法の変更届出書

減価償却資産とは、会社が事業のために必要で購入した自動車やテレビ、パソコンなど10万円以上の固定資産のうち、使用とともに価値が減少していく資産を言います。減価償却資産を取得した場合は、一度に経費として計上することはできず、数年にわたり価値が減少した分だけ毎年経費として計上できます。減価償却資産には法律で耐用年数というものが定められていて、その年数をもとに経費を数年に分割します。

減価償却のやり方には数種類あります。個人事業主の場合は通常、毎年同じ金額を計上する定額法が法定のやり方です。しかし会社の場合は、初年度に大きな金額を計上して徐々にその金額が減っていく、定率法というやり方が法定の算出方法です。法人成り後も、減価償却資産の償却方法の届出書を提出することで定額法も選択できます。

消費税は2年間免税

消費税は2期前の売上が1000万円未満だと免税事業者となり消費税の納税は必要ありません。そのため、1期目と2期目は判断のしようがないので、会社設立後1期目と2期目は特例で消費税の納税が免除になります。ただし、設立時の資本金が1000万円未満であることが条件ですので注意しましょう。ちなみに、免税になるために提出する書類は特にありません。

消費税の計算の仕方に関する届出書

会社を設立した最初の資本金の額が、やむを得ず1000万円以上となった場合に消費税の計算方法を簡単にする方法があります。

消費税の計算方法は2種類あります。仕入れや経費などの支払時にかかった消費税を差し引いて残りの消費税を国に納税する方法です。これを原則課税や一般課税といいます。しかしこのやり方は事務手続きが煩雑になってしまうため、課税売上高が5000万円以下の中小企業だけが選択できる簡易課税という制度が用意されています。売上に一定の数字をかけて納付額を決めるやり方です。手間がかからず便利です。

しかも、簡易課税の方が原則課税よりも納付額が安ければその分節税になります。簡易課税を選ぶときは、消費税簡易課税制度選択届出書を税務署に提出する必要があります。提出期限は最初の事業年度の終了日までです。また、設立時に資本金が1000万円以上となった場合は消費税の新設法人に該当する旨の届出書という書類も税務署に提出しなければなりません。提出期限は速やかに提出する、となっています。

簡易課税制度は、消費税の納税義務者になったらぜひ活用しましょう。

photo by: Bright Meadow

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