財産分与と財産相続

死亡や離婚によって財産を分けなければならないことがありますが、事業についても同じことが言えます。

財産分与と財産相続

離婚の場合、個人事業主と会社の場合では大きく違ってきます。個人事業主の場合は、事業用の資産だろうとプライベートだろうと、財産分与の対象になってしまいます。ところが会社の場合は、そもそも会社の資産の所有権は会社にありますから、財産分与の対象にはなりません。ただし、社長が会社の株を保有していた場合は、その株式は財産分与の対象になります。ただ、その会社がよほどの価値を持っていれば話は別ですが、株式を分けられてもほとんどの場合は何の得もしないでしょう。簡単に株を売買することはできないでしょうし。つまり、法人成りしたほうが個人の資産が守れるメリットが大きいといえます。

事業の代表者が死亡した場合も個人と会社では全く異なります。個人事業主の場合は、死亡した代表者が使っていた商売用の預金口座が凍結されてしまい、遺産分割が確定するまで自由に引き出せないという制約があります。また、死亡した代表者が個人名で契約していたものを引継ごうとすれば、再度跡取りの名前で契約し直す必要があり大変な労力がかかります。それに対して会社の場合は簡単です。株主総会を開いて、次の社長を決定して登記しなおせばほとんどの場合はことが済みます。個人事業主とは違い、法人格として登録・契約していますから、契約などはせいぜい代表者の変更だけで済みます。また、口座が凍結されることもありません。

と、ここまでは跡取りがいた場合は会社の方がメリットが大きい話ばかりでしたが、跡取りがいない場合は会社は大変です。個人事業主の場合は廃業届を出せばことが済みますが、会社の場合、解散させるとなれば、以前お話したとおり大変な作業が待っています。残った会社の財産を清算しなければなりませんし、それには専門家に依頼しなければならない場合がほとんどです。

photo by: Roca Ruiz

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