定款とは会社の規則で、国で言えば憲法のような存在です。定款については何度か簡単に説明しましたが、今回はさらに詳しく説明していきます。
定款に記載することは、「絶対的記載事項」、「相対的記載事項」、「任意的記載事項」の三つがあります。
絶対的記載事項とは
定款の中に必ず記載しなければならないもの、それがなければ定款そのものが無効となってしまう項目です。具体的には、会社名、会社の目的、会社の住所、資本金、発行可能な株の総数、発起人の名前と住所、これらの6つです。
会社名(商号) : 株式会社の場合、前か後に株式会社がないといけません。社名にはローマ字やアラビア数字の表記も可能です。前の記事でも説明したように、同一住所でなければ類似称号の調査は原則必要ありません。
会社の目的 : 法人の場合、目的に書かれていない事業は行うことはできません。そのため、新しい事業を行うには定款を登記しなおす必要が出てきます。当然費用もかかります。ですので、あらかじめ将来行おうと考えているものは記載しておいた方がいいでしょう。また、最後に「全各号に付帯する一切の事業」と入れることで、関連する事業をフォローすることができます。
会社の住所 : 基本的には個人事業主時代の住所にすることが多いでしょう。しかし、最近は住居契約でアパートを自宅兼事務所としている方が多いので、その場合は注意が必要です。なぜなら、住居として契約している物件での登記は大家さんが認めてくれないケースが多いからです。大手の物件だとまず無理でしょう。
資本金 : 以前の記事でも何度も解説したとおり、平成18年の会社法改正からは資本金は1円からでOKです。現物出資の場合は、その財産の種類と財産の金額を記載する必要があります。資本金を増額した場合は、その都度変更して登記しなおす必要があります。
発行可能な株の総数 : 会社が何株まで発行できるかを決めます。増資する場合はここで記載した株数の中で行います。
発起人の名前と住所 : 発起人はご自身でOKです。個人の印鑑証明に記載されている氏名住所を記載します。
相対的記載事項とは
定款になくても問題はありませんが、定めなければ効力を生じない事項を言います。現物出資や発起人の報酬、株式の譲渡制限に関する規定などがこれにあたります。特に、株式の譲渡に関する規定は重要で、これが有効な場合は簡略化できることが多くなります。
任意的記載事項とは
定款に定めなくても問題なく、かつ定めなくても効力を生じる事項を言います。次の4つはぜひ記載しましょう。
- 会社の公告の掲載場所(官報や新聞など)
- 取締役や監査役の設置や人数
- 取締役の任期
- 会社の事業年度
公証人による認証を受ける
定款ができあがると、公証役場で公証人から認証してもらう必要があります。会社の所在する住所を管轄する公証役場で認証を受けることができます。認証に必要なものは、
- 定款3部
- 発起人の印鑑証明
- 発起人の実印
- 収入印紙4万円
- 認証手数料約5万円
- 登記簿謄本交付手数料250円
認証を受けた定款を簡単には変更できませんから、認証前に公証人に見てもらいましょう。
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